ソーシャルグラフ、インタレストグラフ、そしてワークグラフ
FacebookやTwitterなどのSNSについて「これからはソーシャルグラフに代わってインタレストグラフが重視されるようになる」という話を耳にしてから数年が経ちました。
今回のこのブログ記事では、「ワークグラフ」という比較的新しい言葉と共に、TeamPageの「ワークグラフ モデル」がどのように溢れる情報を効率的に整理し、社内外のチームとの共同作業を実現し、さらには別システムと連携するかについて紹介します。
ソーシャルグラフとは? インタレストグラフとは?
ソーシャルグラフとは、「ソーシャルメディア上に形成される人と人との繋がり」のような意味です。Facebookでは、誰かと誰かが「友達」として繋がっていきますよね。そんな人間関係の相関図を表します。
一方のインタレストグラフとは、「興味関心などのテーマで形成される人と人との繋がり」のことです。例えば、食べログやクックパッドは、食べ歩きが好きな人、近場の飲み屋を探したい人、料理が趣味の人、夕飯のメニューを決めたい人…などが集まり、繋がっていきます。Twitterでも、多くの場合、「自分が興味のある人」をフォローして繋がっていきます。
ワークグラフとは?
では、ワークグラフとは何でしょうか?
ジャスティン・ローゼンスタイン (Justin Rosenstein) 氏が、WIRED誌で分かりやすく説明しています。
ワークグラフは、仕事の単位(タスク、アイディア、顧客、目標、議事録など)、仕事の情報(会話のやり取り、ファイル、状況、メタデータなど)、仕事と仕事がどのように互いに関連しているか、そして仕事に関わっている人々についての情報(誰が担当なのか?誰が仕事のサイクルに入るべきなのか?など)で成り立っています。
特に最後の「仕事に関わっている人々の情報」で重要なことは、必要なときの必要な情報すべて見つけられることです。企業向けのソーシャルグラフでは「おーい、誰か、この仕事をもう始めた人はいるかい?」とチーム全体に尋ねなくてはならないことがありますが、それに対してワークグラフでは「誰がその仕事に取り組んでいて、進捗はどのくらいなのか」を自分で正確に調べられます。ソーシャルグラフのモデルは、何かを探している時に偶然別の何か素晴らしものに巡りあう可能性(セレンディピティ)に依存していますが、ワークグラフのモデルは、プロジェクトをゴールへと向かわせるように、目的の情報へと私たちを導いてくれるのです。
原文: The way we work is soul-sucking, but social networks are not the fix (私たちの仕事のやり方は魂を吸い取られるようなものだが、ソーシャルネットワークはその解決策ではない)
日本語に意訳して引用しました。簡単に言えば、「仕事の必要な情報が、必要なときにすぐに見つかるための、人間関係や成果の相関図」ですね。
TeamPageのワークグラフ モデルの基本
ワークグラフのこのコンセプトを使って、TeamPageがユーザーの仕事をどのように管理するのかを見てみましょう。
TeamPageのワークグラフは、投稿記事、コメント、近況アップデート、タスク、マイルストーン、プロジェクト、リンク、参照情報、リレーションシップ等を、自動的に、投稿や編集やタグ付けの日時と共にアクションを行ったユーザーのプロフィール情報とを結びつけます。
編集を行うと、編集前のバージョンと編集後のバージョンは自動的に相互リンク(相互リレーションシップ)で結ばれ、すべての履歴が完全な形で保存されます。そして、誰が、いつ、どのような変更を行ったのかを正確に確認できます。
TeamPage上の同じワークグラフ情報には、ユーザーと仕事の単位のどちらの視点からもアクセスできます。例えば、誰かが投稿したタスクは、投稿者、担当者、チームのスペース、プロジェクト、マイルストーンなどと自動的に繋がります。そして、投稿者のタイムラインやダッシュボード、担当者のダッシュボードやタスクリスト、チームやプロジェクトのダッシュボード、タイムライン、カレンダー…など、さまざまな画面に表示され、どこからでも最も採りやすいルートでアクセスできるのです。
重要なことは、TeamPageが、無駄なノイズを減らし、社内外の人々との共同作業をしやすくし、既存のITシステムと連携し、仕事をやりやすくするために、そのワークグラフ モデルを使っているということです。
ワークグラフがもたらす、適度な情報量
話の流れの中に、別の話
TeamPageでは、新しいタスクを既存の記事のあらゆる段落に登録できます。例えば、議事録、マニュアルのスペック情報、顧客からの問い合わせなどの「話の流れの中」に、必要なアクションをタスクとして登録してフォローアップできるのです。
元記事から見れば、段落の下にタスクが表示され、元記事の「話の流れの中」に次のアクションが起こされていることがわかります。タスクをクリックすれば展開表示され、最新の状況をその場で確認できます。
タスクから見れば、登録先の段落の内容が引用表示されており、元記事の「タスクのきっかけ」や「話の流れ」がわかります。タスクに背景や経緯を詳しく書く必要がありません。
このようなことをメールで行うのは大変です。やり取りが長くなるにつれて、件名と内容が一致しなくなることがありますよね。「Re: ○○について」という件名のメールを開いたらまったく別の話だった…そんな経験はどなたにもあると思います。こうなると件名から目的のメールを探し出すのは困難です。さらに更新されたファイルが添付されていると、もう大変です。どれが最新だか分からなくなってしまいます。
TeamPageを使えば、たとえメールで連絡を取り合うにしても、TeamPageのタスクや添付ファイルのURLをメールに書いて相手に送れば良いだけです。GoogleハングアウトやLINEなどのメッセージアプリを使う場合も同様です。
タスクは、スペース、プロジェクト、マイルストーン、そしてタグを使ってまとめられます。例えば、お客様からの「問い合わせ」を(これも「お客様へ回答する」という、一種のタスクです)を関連製品ごとにまとめ、さらに未完(To Do)と完了(Done)とに分けることも簡単です。
ズームインとズームアウト
特定の仕事の進捗や状況を詳しく確認したいときは、スペースやプロジェクトにズームインしましょう。
TeamPageをマンションに例えれば、スペースは部屋、プロジェクトは部屋の中の机のようなものです。部屋や机には、ダッシュボード、カレンダー、タイムライン、タスクリストなどが用意されていて、机の上の資料をさまざまな形で取り出して読むことができます。例えば、何かのスケジュールは、カレンダーでもタイムラインでもダッシュボードでも確認できます。その時その時でベストな方法を採ればOKです。
反対にズームアウトして、上空からの視点で全体を眺めることもできます。マンションの玄関口へ移動して、建物全体を眺めるようなものです。実際のマンションには各部屋にドアがあって玄関から部屋の中は見えませんが、ここでは閲覧権限のある部屋の扉が開け放たれていて、玄関から各部屋の様子がわかるようなものと考えてください。
玄関口にもダッシュボード、カレンダー、タイムライン、タスクリストなどが用意されていて、閲覧権限のある部屋からの情報がリアルタイムでそれぞれの画面に表示されます。玄関口にいながら各部屋や各机で何が起きているのかを把握できます。もし、特に気になることがあれば、部屋や机に移動(ズームイン)して、より詳しいことを確認したり、部屋や机のメンバーと会話したり、タスクを登録したりできます。
新着や更新の通知
でも、玄関口で自分に関係のある話をずっと見張り続けるのは大変ですよね。そこで、ウォッチ機能です。ここでの「ウォッチ」は「腕時計」ではなく「見張る」の意味で、あらゆる記事、スレッド、タスク、プロジェクト、ユーザー、共有フォルダ等の「仕事の単位」をTeamPageに見張らせて、何か動きがあったときに通知してくれます。
通知はページ内(画面上部のバッジ表示)でもメールでも受け取れます。通知内のリンクをクリックすれば見張っていた場所の会話に戻れますし、通知メールに返信すればその返信は元のスレッドにコメントとして投稿されます。
自動日報作成&配信
「そんなに頻繁な通知はいらないよ」という場合は、一日一通※のまとめメール(ダイジェスト)がオススメです。前日の出来事がまとめられた新聞のような、自動的に作成・配信される日報です。
皆さんも始業から終業まで、細かないろいろな仕事をなさっていますよね。例えば…
- 取引先に新商品の案内メールの送信
- 社内外の関係者との日程調整
- お客様との打ち合わせ記録(議事録)の作成
- 問い合わせへの回答
- などなど…
このような、「やったこと」や「これからやること」をTeamPageに投稿すれば、翌日の朝、自動的に整理されて、関係者に日報としてメール配信されます。この記事をお読みになっている方の中には、一日の終わりに日報を書いて提出していらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、TeamPageではその必要もありません※。
※ ダイジェストの配信頻度は変更可能で、「日報」ではなく「午前報」や「午後報」や「週報」などにもできますが、ここでは分かりやすく説明するために「一日一回の日報」と表現しました。
※ ダイジェストは日報代わりになるわけですが、「一日を振り返りの意味で終業時に日報をまとめることは重要だ」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。そのようなニーズにお応えする日報プラグインがあります。
社内も社外も、ひとつのコラボレーション環境で
ワークグラフが見えるものを制御
TeamPageのワークグラフ モデルには、権限設定によるアクセス制御が含まれ、各ユーザーが閲覧できる投稿、リレーションシップ(リンク関係)、検索等だけが自動的に画面に表示されます。
このアクセス制御により、企業や組織の壁を越えて、同一のTeamPage内での異なるビジネス活動を実現します。例えば、社内の複数の部署による共同作業を行ったり、お客様をサポートしたり、社外の取引先と商談を進めたりすることが、ひとつのTeamPageに同居できるのです。すなわち、グループ企業間での情報共有のほか、全く別の企業・組織との共同プロジェクトなどに活用できます。
社内の部署の部屋(スペース)、取引先の部屋、お客様のサポート部屋…などはアクセス制御という「壁」で仕切られており、権限のあるユーザーだけが中を見たり中で発言(投稿やコメント)したりできます。権限のないユーザーは部屋の存在さえ知ることができないので、社内のユーザーも、社外のユーザーも、安全に「自分に許可された部屋」だけで仕事ができます。
壁をすり抜けてのコラボレーション
また、権限が許可されていれば、コメントやタスクを「壁」をすり抜けた「向こう側の自分(たち)の部屋」に投稿することもできます。例えば、お客様からの質問にコメントするとき、コメントの投稿先を社内メンバー用の部屋に変更すれば、そのコメントを読めるのは社内メンバーだけになります。お客様は、社内へのコメントがあったことはわかりません。(後から「タグ」を追加してお客様に公開することは可能です)
一般的には、社外のユーザーと同居するときは、社外ユーザー(社外の組織やグループ)につきひとつのプライベートな部屋を割り当てます。一方の社内ユーザーは、これらの社外の部屋を、自分たちの社内の部屋と一緒に眺められます。TeamPageは、ビルトイン型のアカウント管理機能を持つだけでなく、Active DirectoryやLDAPに対応しているので、部屋ごとにユーザーやグループに対する細かな権限設定ができます。
TeamPageのワークグラフは、社内、社外、パブリック、そしてプライベートなコンテンツをひとつにまとめ、閲覧権限のあるものだけに絞り込み、ユーザーに表示します。この閲覧権限による絞り込みは、システムの深いレベルに組み込まれているので、タイムライン、ダッシュボード、コメントのスレッド、検索結果など、あらゆる動作に共通して作用します。(米国特許 7,593,954 取得済み)
相手が社外の取引先でも、お客様でも、社内の別の部署やブループでも、用意するのはひとつのTeamPageだけで良いのです。新着をチェックしたり、コメントを投稿したり、タスクを登録したりするために、いくつものソーシャルツールを使い分ける必要はありません。
社内外のWebページや基幹システムへの対応
ソーシャル エンタープライズ Web
TeamPageの Webアクション機能 (SEW)は、インターネットや社内イントラネットのページ等を共有したり、コメントしたり、タグ付けしたり、タスクを追加したりするための追加オプションです。ブラウザーに拡張プラグインをインストールするだけで動作します。(Internet Explorer, Google Chrome, Safari, Firefoxに対応)
Webアクション機能を使うことで、さらに、あなたが管理しているあらゆるWebページに、FacebookやGoogle+のような、TeamPage用の「シェア」ボタンやコメント欄を設置できます。WebページへのコメントはTeamPageに投稿され、TeamPageに投稿されるコメントには元のWebページヘのリンクが作成され、TeamPageのワークグラフの一部として扱われます。
ブラウザーの拡張プラグインやページ埋め込み型の「シェア」ボタンまたはコメント欄からTeamPageにシェアやコメントなどを行うと、元のWebページの内容が自動的にインデックスされ、検索したりナビゲーションで利用したりできるようになります。
下図は、社内ERPシステムの見積書ページにWebアクション機能のコメントボックスを設置した例です。もちろん、請求書や納品書のページにも、同じように設置できます。高額なカスタマイズ費用は必要ありません。Webページに数行のJavaScriptを挿入するだけです。
サーチプラス
サーチプラス オプションは、TeamPageのワークグラフを、SharePointやファイルサーバー、SQLデータベースのアプリケーション、そしてDocumentumに拡張します。
これらの既存システム上のあらゆるコンテンツを、TeamPageのワークグラフの一部として、タスク登録、タグ付け、コメント追加したり、検索、シェアしたりできるようになります。
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